| 91 チトセ said
昔の、
小さい頃の夢を見た。
『ちーび!』
『お前なんか王子じゃないだろ!!』
同じ幼稚園の奴に言われて、泣いていた俺。
俺が怖くて、泣いてるのを隠して俯いている時に、フウカが来た。
『それ、チトセに言うんだったら、チトセのお父さんに言いなよ。 王子か王子じゃないか決めるのはあんた達じゃなくてお父さんじゃん!
あ、そっか、怖いんだ! 意気地無しだね!』
前に立って、堂々と言ってくれるフウカ。
俺にはヒーローに見えて、とてもかっこよく見えた。
泣いてどこかに行った奴ら。
『大丈夫?!』
『フウカちゃんは、僕のヒーローだね!』
それが俺の初恋だった。
「ん.....。」
「あ、起きた!」
目を開けると、クラスの奴らが。
冷たく、寒い場所。
「ここは.....。」
まだぼやけている目。
段々とハッキリしていく。
光がなく、鉄格子。
狭く、薄暗い。
「牢屋.....?」
なんで、俺達が?!
「フウカちゃんとカイくんにここに送られたの。 瞬間魔法で。 チトセくんはフウカちゃんに気絶させられたの。」
あぁ、そっか.....。
俺は立ち上がって、鉄格子に手をかける。
ここは青の城の牢屋だ。
1度来たことがある。
青の国の王子や王が触ると開く鉄格子。
だけど.....
「なんで、
何であかない?!」
「すみません、チトセ様」
鉄格子を挟んで前に居たのは、フウカのお世話係のセシルさん。
「今この鉄格子を開けてるのは少数の人で、
その中にチトセ様は含まれておりません。」
そう言うセシルさん。
「フウカは、親父は?!」
「皆様は魔法界を守るべく、命をかけ、闘っております。 私はチトセ様が起きた時に説明するようにとここに。」
ここだったら何も出来ない、か.....。
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