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この距離感はつかめない

1: ☆2017/02/04(土) 20:35:03 HOST:kd106166024010.ppp-bb.dion.ne.jp

数回の更新で終わる恋愛小説


2: ☆2017/02/04(土) 21:30:01 HOST:kd106166024010.ppp-bb.dion.ne.jp
「香取君。久しぶりだね」


恋人のいない所謂非リアと呼ばれる者達には心も体も寒い季節がもうすぐ終わる。
つまり、3月。
隣を歩くは、私の親友の元カレ、香取。

いつからだろうか、彼とときたま肩を並べて歩くようななかになったのは。
別に彼と付き合っているわけでもない、そうだ、あの日だ、ただ偶然くじ引きで係が同じになってしまい、
仕事が終わり帰る時間には生徒のほとんど、つまり私たち以外の人が存在せず、香取は同じ方向にかえるので流れで帰ってからだ。
彼の性格は、気さくで明るく、はしゃがず、面白いといった、何とも微妙な性格の持ち主だ、いや訂正しよう、純朴すぎるのだ、こいつは。
フワフワした、天然のしっかり者と言おうか、言葉では言えないな、一度逢えば分かるだろう、嗚呼こういう事かって。

まあ、今も他愛もない会話を続けている。
今週でたカボチャのスープのまずさ、山本先生の娘の話、誰も理科室のフナに餌をあげないこと、話題が尽きることはない。
さっき、別に付き合っているわけではないといった、が別に恋愛感情がないわけではない。
正直に、誑かす事無く言おうか、私は香取が好きだ。
ずっと、彼が私の親友と付き合っていた時も、彼が付き合う前私に恋愛相談をしてきた時も、今も変わらぬその笑顔が好きなのだ。

告白するつもりなんてアリの目玉分もない。
この距離感じゃ、ダメだ、この距離感が落ち着きすぎているのだ。
すごく丁度いい、友達でも親友でも恋人でもない、独特の距離感。
これが好きだ。

親友と香取は別れた直後会話をしなくなった。
親友は一方的に香取を避けている、しかし、香取は平然と笑う。
しょうがないんだという風に首をかしげながらくしゃっと笑う。

もし、どうだろう、私と香取が付き合ったと仮定したとき、私と親友の距離はどうだろう。
私は、それが怖くて、分かり切った未来が怖くて何もできずただただ幸せをかじっているのだ。

バイバイと手を振り私はバスを待ち、彼は道を曲がる。
どうすれば、この想いは伝わり、全てが丸く収まり、全てが幸せになるのだろうか。
その時事件は起こったのだった。

「好きだ」

先ほど道を曲がり、家に帰ったはずの香取がまっすぐ私を見つめ、言うではないか。
嗚呼、まさか。
こんな事があるのか、世の中。
両想い何て何億分の一の確立くらいではないのだろうか、なんて説明臭い思いより、断然早く、喜びと緊張が私を包む。
こんなに嬉しい事があるのだろうか、こんなに幸せなことはあるのだろうか、しかし、首は縦に触れなかった。

理由は、簡単だろう。
察しの通り、彼は、香取という名前を持ちながら親友の元カレという肩書も持っている。
それが何を意味する?
解るだろう、頭の中で整理するには簡単なほどの事だ、私が首を振ってしまえば、全てが丸く収まる。

「2日まって」

首は降れなかった。
結局のところ、迷いというのは強く、あっけなくほとんどの欲望に勝る。
駄目ならば、一歩引いて考え、出直せ。
私は、香取との距離感が好きだ、これ以上幸せな物は無いのだ。
この秘密という甘美な時間は美しくも儚い事は知っていただろうに。
涙をギリギリのところで隠し、背を向け白い息を吹きながら走る彼を見送っていた。

その後、流れるようにやってきたバスに乗り、3人ほどの乗客しかいなかったので、わざと見えるように泣いた。
声を架けてほしかったからではない、泣いていれば、自分を客観的に見れる気がしたのだ。
実際にどうかは知らない。

残り二日。
残り48時間。
長いようで短い。
その期間はあっという間に過ぎた。
お互い何もなかったかのように、実際何もなかった。

「香取、一緒に帰ろう」

すれ違いざまにそれだけ告げて、集会後、校門に急いだ。
そこには、もう香取がいて、数人の人に冷やかさられながら肩を並べて歩き、誰もいなくなり、二人だけになった時、やっと香取が口を開いた。

「別に急がなくてもいいから、ゴメン」
「なんで謝んの」
「ごめん」
「ほら」
「笑うな」
「ゴメン」
「何だそら」
「……」
「……」
「……返事してもいいですか」
「……いいですよ」
「……」
「……」
「……両想いです……」
「……はい」
「一ついいですか?」

雪なんてもう少ししないと降らない。
一番寒い季節はまだ来ない。
遠い異国の地ではその時一番暖かい。
この日、香取と私の距離感は世界で一番近くなった。
次の日から私と香取の距離感は、いや、そのものがなくなって、話さない、目すら合わせない関係になった。
そして、今、後悔なんかしていません、香取君は後悔してる、なわけないよね。

「ああ、三浦さん、久しぶり。何年ぶりだ? 中学以来だからもう5年か。酒あとで飲もうな。」
「うん、せっかくの二十歳だもん、約束、覚えてる?」
「忘れるワケない、二人でおいしいお酒を飲むんだろ?」
「……あと、もう一つは?」
「……忘れるワケない……好きだよ、今も……2日も待たないから」

『両想いなら、付き合わなくちゃいけないの?
 私は香取とのこの距離感が好きだよ、すごく。
 だから、別に、お互い好きならそれでいいじゃない、それだけで。
 私はそれだけで、幸せだ。
 だから、約束しよう……』


二人は笑った。
過去の中で、未来を見ていたかのように。

私は、好きだ、過去の君も未来の君も知らない君も全部君だ。

「ずっと好きだったんだよ」



今も思うんだ、両想いとは、好き同士で恋人同士なだけじゃない、幸せになれない距離感なんだ。


3: ☆2017/02/04(土) 21:30:24 HOST:kd106166024010.ppp-bb.dion.ne.jp
end

4: りづ  (421JWP7fFw)☆2017/03/16(木) 21:15:18 HOST:softbank060090168093.bbtec.net
世界観、大好きです。
情景描写とか、表現力が良かった
です。私の作品に見習いたい物
ばかりでした。
長編の作品も読んでみたいです。
次作も期待しています。


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