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電柱に乗って。

1: スマル (A.gwf8MHyc)☆2017/04/13(木) 16:55:36 HOST:kd106166024010.ppp-bb.dion.ne.jp
宜しく。
読んでくれたらうれしい。


2: スマル (A.gwf8MHyc)☆2017/04/13(木) 17:43:39 HOST:kd106166024010.ppp-bb.dion.ne.jp

電柱に乗って。

1、泳ぐ雲と青い宙

新幹線に乗って電車を乗り継いで、やっと着いた。
電車を降りて北方向に走り去る電車を眺めてから、無人の改札を抜ける。
少し歩くと桜の木がある。大きい貫録のある枝垂桜。
清水 幸樹は足を止めてただ空を見上げた。
まるでその空に話しかけるような目つきで。
帰って来たのだ、僕は。
何処から見た空も、同じ空なのは理解できるけど、この街の空だけは別だ。
僕の育った街、三年間離れていた街。
青々とした終春の空、1人の少女の横顔を思い出す。

―——電柱の上に上りたい。そこからすべてを眺めたい。

たった一人の女の子、弾ける様な笑顔とは言えないけどそれに似た、線香花火見たいな笑顔をくれた、髪の長い女の子。
ただただ、僕の隣にいてくれた、それだけの、それだけの思い出。
もうすぐ、夏が来る。夏。
目尻にジワリと熱い記憶がよみがえる、冷たい風が耳を冷ます。
散り始めた桜は新しいモノを日常と変えはじめている。
それでも、それでもあの女の子だけは、何も変わらず僕の記憶の中で笑っている。
もしかしたら、僕が気にかけているだけで、彼女の方には何の気もないかもしれない。
久しぶりに帰って来たのだ、この街に。
会えるといい。いや、会いたい。彼女に会いたい。
ただ、まっすぐにそう思った、彼女が会いたくないと言ったとしても、僕はそれを許さない。

ポケットの中でスマホが唸る。
画面には先週見たばかりの名前がフルネームで載っていた。
僕はワンテンポ遅れてスマホを耳にする。
すぐに相手の声がする。
「おい幸樹、お前どこでふらついてるんだ。」
相当怒っている、当たり前か。もう同窓会は始まっているはずだ。そのために僕はこの街に重い足取りで帰って来た。
「ああ、悠か。」
「ああって。ったく早く来いよ、皆待ってるぜ?」
「僕を待ってる人間なんていないだろ? もう少し遅れていくよ」
向こう側で、ため息が聞こえる。その奥でどんちゃん騒ぎが聞こえる。
「おいおい、そんなに自分を蔑むなよ。少なくとも俺はお前に会いたいよ」
僕は彼のこういう所が好きだ、こうかっこいい事をサラッと言える。
僕にはできない、明るくて素直で友達が多いい。僕の自慢とも言っていい幼馴染、丘野 悠。
軽く笑ってから答える。
「分かったなるべく急いでいくよ、でもこっちに着いたばかりなんだ。少し寄りたい所もある」
悠は少し間を置いてから察したように言った。
「……ああ、わかった。しっかり話してこいよ」
「うん。ありがとう」
そう答えるとプツリと通話が切れた。

さあ、会いに行こうか同窓会が終わってしまう前に。
会いに行くことのできなかった彼女に。

白石 小夜に。

彼女はもう二年前に死んでしまった。
僕の恋人。



3: スマル (A.gwf8MHyc)☆2017/04/13(木) 20:24:59 HOST:kd106166024010.ppp-bb.dion.ne.jp

第一章 思い出とか現実とか

1、君が居るという事


裏庭に行けば白石小夜がいる、だから僕は美術室に向かう。
それが中学一年の後半、11月頃からの習慣になっていた。
冬が近づいている、古い校舎、冷たい風が足元を潜る。
そのせいだろうか、それとも早く彼女に会いたいからか解らないが足が速くなっているのは自分でもわかった。
美術室は廊下の突き当たりを曲がり図書室を過ぎたところにある。
誰も来ないようなそんな静かな場所。
正確には昼休みにこんな所にくるモノ好きがいないという事だけだ。
美術室の奥にある、美術準備室。その部屋の中で西側に一つだけ窓がある。
その窓を開けて外はちょうど中庭。僕はそこからキャンパスを持つ白石を探した。
秋が過ぎて肌寒い程度ではすまないくらいなのに、彼女はいつもの定位置で真っ白なキャンパスに向き合っている。
僕はただ、それを見つめる彼女が僕に気付いてくれるまで。
数分たつと、彼女はこちらを見上げ、鉛筆を握り変え、細い白い腕を僕に振る。
僕は手を振り返しながら、彼女にしか聞こえないような声で言う。
「白石、今日も4時の電車?」
彼女は少し考えるようにしてから、言う。
「うん。清水君も4時のやつだよね


4: スマル (A.gwf8MHyc)☆2017/04/13(木) 21:13:18 HOST:kd106166024010.ppp-bb.dion.ne.jp
「うん。清水君も4時のやつだよね」
僕は軽く頷いて、彼女の方を指さす。
「今日は何を描くの」
彼女はキャンパスをこちらに見せながらキラキラした目で答える。
「春の絵を描こうと思って」
「この時期に?」
「この時期だから」
「それは……興味があるね」
言葉が見つからない、彼女は時々可笑しなことを言う、しかしそれにはきちんと正しい理由があることを清水は知っている。
きっと素敵な理由なんだろう、僕は返事を待つことにする。
「もうすぐ冬が来て雪が降るでしょ、寒いときに貴方ならどうする?」
少し、冬を思い出す。雪の降るなぁマフラーを付けて家に帰る、指はかじかんで鼻は赤く方が震える。
このかじかんだ手を温めるために、きっと僕はお湯を沸かして粉スープを飲む。コーンポタージュの。そして、ため息を吐いて、よかったと呟く。
そう言うの思い浮かべてから。
「きっと温かいスープを呑むよ」
「それは何故?」
「寒いのが苦手だからだよ、できれば寒さなんて無くなればいいと思ってる」
「寒さから逃げるための道具なだけ、春は」
彼女はホッと笑って続ける。
「寒いなら温かい何かを求めればいい。それは何だって構わない。
 カイロでも、マッチでも、ココアでも、スープでも、春でも。
 何でも良いの、私は冬が嫌いじゃないけど寒いと風邪を引く。
 だから対策しなくちゃ凍え死んでしまう」
僕は少し口角を上げながら彼女の満足げな顔を見る。
「幸せそうだね、春が好きなの?」
「うん、春も夏も秋も冬も、好き」
「僕は決められないな、基準が違うから」
彼女は葉のすべて落ちた名前のわからない木の方を向きながら鉛筆を走らせる、背を向けたまま彼女は話を聞いてくれた。
「それは何故?」
「春の中で何が好きと聞かれれば、簡単に答えられる、桜だよ。
 でも冬にそれはない、だから僕は冬と春を比較するものを、
 夏と比較する、秋と比較する季節を持っていないんだよ」
「なるほどね、とても素敵な考えだと思う、じゃあ冬の中では何が好き?」
僕は曇りはじめたカラカラの空を見ながら、冬について考えた。
どうしようか、僕は何が好きなのだろう、いやきっとそんなこと考えていない。
ずっと彼女の事を考えていた。
「白石は冬の中では何が好き?」
「私が貴方に聞いたはずだけど」
「うん、あまりいい考えが思いつかなくて」
「じゃあきっと」
そう言いながら彼女は少し首をこちらに向け、細く笑った。
「きっと貴方は冬が嫌いなんだよ」
「そんな事はないよ」
「そう」
あっけない会話、そっけなさすぎる返事、僕は何も言えず流れる雲を眺めるまま、結局チャイムが鳴るまでこの体制を貫いた。
「宿題にしてくれないか? 時間が欲しい」
「じゃあ、約束にしようか、忘れないように」
「ああ、破らないように努力するよ」
僕はそう言って窓を閉めた。

やっぱり外は寒い。鼻の先と目尻が冷たくなっていた。今日は温かい勘のスープを自動販売機で買おう。
白石にはココアを。
そう決めて僕はゆっくりと美術室を出た。



5: スマル (A.gwf8MHyc)☆2017/05/29(月) 19:50:00 HOST:kd106166024010.ppp-bb.dion.ne.jp

第一章 思い出とか現実とか

2、ココアと白い湯気。

白石小夜は、変人だ。
裏の校門で彼女を待ちながら、彼女という生き物の定義について考える。
基本的には口数と共に友好関係を築ける友人もいない。
成績は見た目とは対照的に悪く、華奢な体からは想像もできない運動神経。
体育祭では、選抜リレーのアンカー候補になるくらいだ。
なのになぜ、美術部なのか。
一度、聞いた事があるが、なぜ運動部と文化部を比較するのか、とはぐらかされた。
なぞなぞが好きで、自分すら解けないチンプンカンプンな謎を好む。
好きな食べ物は、甘いモノ。
嫌いな食べ物は、辛いモノ、ついでにかぼちゃが食べられない。
本人曰く、辛いモノは人間が食すべきものではないらしい。
喜怒哀楽は持っているはずなのに、一部一部欠けている。
ねじが一本外れたというより、素材そのものが他のもの、つまりは人間ではないような、そんな生き物だ。
風が吹いた、首元をするりとすり抜けどこかへ消える。
彼女はまだか、そろそろ僕は凍死してしまう。
そう、愚痴を漏らしそうになった時、白石がこちらに向かって来た。

「ごめんなさい、案外片づけに手間取ったの」

彼女は息を切らせる様子もない、詫びる様子はほんの少しぐらいは見えた気がした。

「まあ、別に4時の電車に間に合わないくらいの被害だから、いいんじゃない」

田舎の電車の本数は1時間に一本、下手をすればどこかの時間帯は一本も通らない。

「被害総額は、ジュース一本分くらい?」

彼女は口角を少し上げて、子供みたいに(子供なのだが)笑う。

「コーラがいいな、いや、三矢かな、とりあえず炭酸がいい」

彼女は頷いて、じゃあいこうと僕の先を歩き始めた。



6: スマル (A.gwf8MHyc)☆2017/05/31(水) 18:44:48 HOST:kd106166024010.ppp-bb.dion.ne.jp

第一章 思い出とか現実とか

2、ココアと白い湯気

「寒いのに、よく炭酸が飲めるよね」

駅近くの自動販売機、彼女が冷たいペットボトルを渡してきた。
ひんやりとまだ水滴がついている炭酸のペットボトル。
ココアの缶を自動販売機から取出しながら、彼女は僕の持つ三矢サイダーのペットボトルを眺めた。
シュッと音を立ててキャップのすぐ近くまで泡が溢れてすぐに沈むのを見てから、一口それを呑む。それからパッケージのデザインを眺めながら彼女を眺める。

「炭酸を夏のものにする偏見は良くないんじゃないかな」

ココアの缶で手を温める様に包み、少したってから蓋を開ける、白い湯気が立ち、彼女は少し口をつけてハァとため息を吐いた。

「ココアから白い湯気が出るのは駄目だと思う?」

魔女のように笑う彼女は、天使の様に微笑んだ。
僕は質問を無視しされたというのに、炭酸の泡を眺めるのをやめ、彼女のココアからゆらぐ白い湯気を見た。
それは、まるで彼女のように白く、不安定で、綺麗だった。
言葉には現せるけれども、もしもそれがほんとうに彼女だったら言葉にできずに、ただ見つめ続けるだろう。
それぐらいしか僕はできない、それぐらいの男だ。

「そんなことはないと思うよ、炭酸から泡が出る様にココアからは白い湯気がお似合いだよ」
「それと同じことじゃない」
「何が?」
「炭酸は冬には似合わないって話」

炭酸の泡が雪のように見えるからとか、寒いときに寒いモノを呑むのは対照的で面白いとか、色々な反論が口の前で止まった。
何を言ってもきっと白石小夜は僕の口が継ぐまで僕の反論に反論し続ける、例えそれが筋の通ってない意味の無いなぞなぞみたいなことでも。
彼女は意見を変えない、間違ったことに気付いていても、帰ることはしない。
ならば先に口を継ぐんでおいた方が利口だ。

「そうだね」
「そうは思っていないくせに」
「何の事かな」
「清水君はいつもそう。思っていることをきちんと言葉にしない、全て諦めてるみたい」
「そうかな、言うべきことと閉ざしているべきことはあるんじゃないかな」
「それでも言って欲しい事もあるんだよ」

彼女はそう言ってココアを飲む。
白い湯気はもうほんの少し霞んで見えるくらいで、ゆらいでいるようには見えない。
それから僕らは自動販売機の前で何分か正確には彼女のココア缶が空になって、分別のされていないゴミ箱に入るまで、無言に過ごしていた。

「コーンポタージュを本当は飲む予定だったんだ。昼休みの君の話を聞いて。
 温かい何かを飲もうって。だけどやめた。」
「それは何故?」
「僕は別に夏にコーンポタージュがあっても、冬に三矢サイダーがあってもいいと思うから」
「から?」
「それはさ、似合うとか似合わないとかそこに概念を置いてないからだと思うよ」

彼女は口をつぐんだ。

僕は炭酸を片手に、駅へと向かう。
彼女が僕の隣を歩く、二人並んで歩く、歩幅は合わないが同じ速さで歩く。

やっぱりこの距離が一番いい。
これを僕は幸せと呼ぼう。



7: スマル (A.gwf8MHyc)☆2017/06/07(水) 17:39:58 HOST:kd106166024010.ppp-bb.dion.ne.jp

第一章 思い出とか現実とか

3、思い出にならない人


思い出に浸りながら歩く、高校生になってもまだ君がいつもみたいに隣にいるんだと思ってしまう。
高校は、同じところに行く予定だった。
君は美術部を辞めて高校に入ったら帰宅部になると言っていた。
髪の毛も短くすると言っていた。
それはあまり見も現実味のない、仮想に過ぎないのに。

彼女の描いていた2年後はこんなはずじゃないのに、彼女は白石小夜は何で、あの時、死んだのだろうか。

彼女の死を知ったのは白石に炭酸ジュースをおごってもらった日。
二人で電車に乗り、それぞれの家路をたどった。
家で清水幸樹はいつもどうり過ごした。
10時ごろベットに入り込んだ直後だった。
母親がノックもせずに音を立てて入ってきた。

「あんた、ねえ、幸樹……!」

何事かと想い、ベットから上半身を起こす。

「あんたの同級生の、白石さんが……、今先生から連絡……」

そこからの事はよく覚えていない。


気付けば無邪気に笑く白石の遺影の前に涙も出さず呆然としていた。
まるで何の感情も持たないロボットみたいに。
冷血で、まるで白石を恨んでいるかのような目で彼女を見つめていた。
唇が震えている、声にできない。
指が震える、触れられない。
頭の回転が効かないまま葬儀は終わり親族だけにしてほしいと言われたので、僕はふらついた足取りで会場を離れる。
家に帰り、その足で着替えもせず学校に向かった。
土砂降りなんかじゃない、雲一つない快晴が彼女を天国なんかへと送っていった。
中庭のベンチで僕はずっと日が暮れるまで空を見ていた。

後から聞いた話だが、彼女は自殺だったそうだ。
最寄駅のホームに飛び込んだ。
遺書はなく、動機もない。
しかし他殺である証拠なんてどこにあるはずがない。

彼女は自殺をした、幸せそうに魔女みたいに天使の様に寂しく儚げに無邪気に笑う彼女はもうこの世界の何処にもいない。
世界のどこを探しても、学校の中庭、裏の校門、自動販売機の前、僕の隣、どこを探したって、見つかることはない。

そう思えば泣くことは安易だったのかもしれない。
ただ単純に彼女がこの世の何処にもいないと感じることが出来れば。
彼女と言葉を交わすことも顔を合わせる事も無いと信じられれば、清水幸樹は泣けたのかもしれない。

僕は泣けなかった。
ずっと考えていたのに、現実にはそうだと頭は判断していたはずなのに。
学校の中庭、裏の校門、自動販売機の前、僕の隣、どこにだって死んだ君は、白石小夜は、いた。
解ってるんだ、それが僕の幻想に過ぎないのに、僕の思い出にすぎたいのに。

僕はいまだに、中学一年、同じ時を過ごした彼女に捕らわれて動けない。
もう二年も前の話なのに、こんなにもまだ傷が渇かない。
相変わらず白石小夜は喋らず想い出みたいに笑う。
何度も見た映画みたいにマニュアル化した僕の思い出の彼女は笑う。

「ねぇ、聞きたい事があるだ」

僕は、話すことのない彼女に問う。
彼女はこちらの話なんかお構いなしに、ただ幼い姿のまま僕の隣にいる。

「何で、いなくなってしまったの」

もうすぐ、君が眠っているところに着く。
花を買って行こう。
君が好きな花を買って行こう。
そう決めて僕は少し遠回りして、君のお墓まで行くことにした。
初めて訪れる、君のお墓に。




8: スマル (k77xbamIwg)☆2017/08/07(月) 22:50:16 HOST:kd114016074229.ppp-bb.dion.ne.jp

第二章 咲かない花

1、私は今日幽霊になる

空は青い。
雲は白い。
海は蒼い。
雪は白い。

人生における価値観は私で決まる。
清水君の言う、興味、は私に注がられてはいない。
全て私が仮想した、脳内の宇宙に広がる星を、彼は天体望遠鏡の向こうで、名前を付けようと必死なのだ。
炭酸のシュワシュワした舌触り、ピリッと歯の裏に着いた痛みが頭の表側に掲示される感覚がたまらない。


9: スマル (k77xbamIwg)☆2017/08/09(水) 22:00:14 HOST:kd114016074229.ppp-bb.dion.ne.jp
コーラは夏の飲み物だ、サイダーも、全部、全部。
けれども彼が間違ってるとは言わない。
言えないというのが正しいのだろうか、とりあえず、彼にそう言う勇気はない。
炎天下の太陽は、じりじりという擬音が似合う。
バス停のレトロな感じの溢れる、木の椅子に座り、半分に減ったペットボトルをかざす。
反射して眩しい、蝉だろうか、幻想だろうか、音が聞こえる。
均一な音を立てて奏でられるメロディーに、汗が染みる。
暑い、夏か、いいや、初夏だ。
バスが止まる、キィと音を立てて。
次に大きな機械音と共に、前側の扉が開く、運転手さんと目が合う。
私は頭を少し下げて、小さな声で、すみません、と言った。
白髪交じりの運転手さんは帽子のつばを少し掴んでぺこりとした。
ドアが閉まる、バスが動く、ガソリンの匂いが頭に残る。



10: スマル (k77xbamIwg)☆2017/08/13(日) 15:07:51 HOST:kd114016074229.ppp-bb.dion.ne.jp
もうすぐで、夏が来る、本物の夏が。
嗚呼、嗚呼、何でこんなにも私ははしたないのだろう。
彼はきっと私を探している、きっと、私のところへやってくる。
ああ、もうやめた方が良いのかもしれない、なんて私に拒否権なんて一つもないのに。
あと、三分、バスがやってくる。
あと、三分で、全てがはじまる。
薄命な雲は大きく膨らめば膨らむほど、大粒の雨を運んでくる、全てながしたら、もうあとは何もなくなる。

「私もきっと同じ。ねえ、始めようか。」

もうすぐあたしは幽霊になる。
バスが止まる、私はそれに乗り込んで。

消えた。


11: スマル (k77xbamIwg)☆2017/09/24(日) 21:58:50 HOST:kd114016074229.ppp-bb.dion.ne.jp
2、枯れた花瓶

なんで僕はあの時、温かい缶のスープを選ばなかったのだろう。
なんで僕はあの時、なんで、なんでなんで。

自分の部屋のベットに腰を下ろし、何もない壁を見つめる。
そのまま目線を窓の方へ、何もんないな。

白石の死とは関係の無い事さえ、関係のあることに思えて、三日前に死んでしまったらしい彼女の事を思い出した。
僕の言動全てが彼女を自殺に追い込んだのだろうか、僕の存在が、いやもしかかしたら、無力だったからかもしれない。
彼女の支えにすらならずに、だらだらとそばにいたせいかもしれない。
彼女と出会った瞬間から、僕はこのヘタクソな脚本家が書いたような運命を徐々に消化していたのだ、きっと。

ニュースで聞いた理不尽な事件を論すように、他人事のように、頭の中を整理していく。
時計を見ればもうすぐ23時で課題が終わってないことを思いだす。
ああ、明日学校か、呟いてみただけだ、意味なんてない。
君のいない学校。
意味の無い学校。
行きたくもない学校。

けれどもきっと僕は明日学校に行く、君が居ると信じて、幻かもしれない君を探しに、だって君が死ぬなんてありえないから。

課題は、明日の朝、悠のを写そう。そうしよう。
僕はそのままベットに倒れこんだ。

いつのまにか寝ていた、起きた時に感じたのは、なんだかいい夢を見たなと、思っただけだ。
目覚まし時計を起こす朝は、久しぶりだった。

さて、学校へ行こう。
はやく、はやく、学校へ。


12: 梨里& (OTsHSJKM8o)☆2017/09/27(水) 21:45:27 HOST:om126212128246.14.openmobile.ne.jp
読ませていただきました!!

🌟お話の展開が面白く、主人公の気持ちが、とてもよく伝わります。


🌟(登場人物の名前の感じの読みがわからないので、ヒーローとヒロインにします)
ただ、途中でヒーローと、ヒロインの会話文だけになってしまっているので
主人公の心情。相手に対する今の気持ちなどを書いて、
間にいれることをおすすめします。


🌟改行をもう少しすることをおすすめします。
途中で、おおめにやっているところもあるのですが...

「会話文」
主人公の心情など
改行
「会話文」
          この流れがおすすめです


<ランク>一応

<B>

一歩手前って所でした!!
これからは、読者になってもよろしいでしょうか?


13: スマル☆2017/11/03(金) 17:34:26 HOST:kd114016074229.ppp-bb.dion.ne.jp
評価ありがとう、女の子かな?
読者になってくれたらうれしい。

清水幸樹 しみずこうき
白石小夜 しらいしさよ
丘野悠  おかのゆう


14: スマル☆2017/11/03(金) 17:59:11 HOST:kd114016074229.ppp-bb.dion.ne.jp
2、枯れた花瓶

素直になることは恐ろしい事だ。
数学の授業中ずっとそんなことを考えていた。
比例式のグラフを眺めこんなものなければいいのにと心の中で戒める。
でもこれを習得しなければテストの点が悪くなる。
テストの点で人生が振り回されるのは嫌だが、テストの点が悪くて人生を振り回せないのはもっと嫌だ。
だから僕は勉強をしなければならない、人生とかそんな複雑話じゃなくてもっと根本的な話だ。
正直に言えば、意味の無い事をちゃんとできなければ大人になんてなれないのだろう。

チャイムの音で掃除が始まる、うちの学校はその後に給食がある。
今日のメニューなんて覚えてないけれども、きっとありきたりのメニューなんだろうとゴミ箱を片手に物思いにふける。
階段を下り一度雪の降る外へ出て、校舎裏にあるいわいるゴミ捨て場に萌えるゴミとプラスチックに分別し、捨てなければならない。
三分で終わる仕事、教室にもどっても面倒なことを押し付けられるだけだ、遠回りしていこう。
ああ、寒いなやっぱり、体操着一枚じゃ寒いか。

空のゴミ箱片手に第二体育館のウラを回り、玄関整備担当の教師に見つからないよう、美術準備室の非常階段の上の方に腰を下ろす。
二年前に母親が買ってくれた腕時計は掃除終了まであと10分程度を指していた。
非常口とはいうものの簡単に開け閉めが可能なドアの向こうのばか騒ぎと午後の風のギャップが気持ちいい。
辺りを見回しだれもいないことを確認する。
教室等とは死角になっていてだれも座っている僕なんかに気付く者はいない。

「白石、ねえ、今日は寒いよ。もし君が居てくれたら僕は、こんな事呟かなくてすんだと思うよ。
 白石、君は何でそう僕の幻想にしか姿を現さないんだよ。
 ねえ、白石、、、黙って笑わないで、ちゃんと、返事をして。
 なんで僕は、君を忘れられないんだと思う? 
 君にもわからない事なんDなと思う、世の中のすべてを知っていそうな君にもわからない事だ。
 どうせ、君はそんなことないって嘘を吐くんだ、君はそう言う人だ、だからそう言ってよ。
 そんな風に、笑ってないで……笑うなよ、笑うな白石」

僕が生み出した空想上の白石が笑うことに対しての命令。矛盾だ。
笑っている彼女をつくりだしたのは僕なのに。
ならば微笑まない白石をつくりだせばいいのに、なんで僕の中の白石は何もしゃべらず


15: 萌菜& (OTsHSJKM8o)☆2017/11/04(土) 01:13:32 HOST:om126212048144.11.openmobile.ne.jp
あ、はい!女子です。

読者もうなってます!
更新頑張ってください😊

あ、
呼びためOKですか?


16: 萌菜& (OTsHSJKM8o)☆2017/11/04(土) 01:15:46 HOST:om126212048144.11.openmobile.ne.jp
あ......
ごめんなさい🙇

呼びためOKって書いてありました!
次からそうさせてもらいます😊

うちも、呼びためOKです!


17: スマル☆2017/11/29(水) 22:20:10 HOST:kd114016074229.ppp-bb.dion.ne.jp
2、枯れた花瓶

「清水君……?」

声が聞こえた。階段の下の方から聞き覚えのある声が。
下の方を見ると、ショートカットの女子生徒がいた。
それと同時に白石は消えた。
秋宮 香ノ夏。寒いねぇ、と片手にゴミ箱を持ち、白い息を吐いた。

「泣いてたの?」

なんでそうなるんだ。

「泣いてなんかいない」

秋宮は笑った。

「そっか、じゃあ心が泣いてるんだね」

何だ、それ。
思わず笑った、秋宮につられて笑ったのか、あ君あの言葉が突拍子もないからかよく分からないけど、笑った。
久しぶりに笑ったと、自分でも思った。

「清水君が笑ったの、久しぶりに見たよ」

白石が死ぬ前まではたくさん笑ってたのに、とは彼女は言わない。
少し寂しそうにそう言って、寂しそうに少し笑った。
そのままゴミを捨てて、帰ってゆく。

何だったのだ。
彼女はおかしい、面白いほどに。
小柄な体なのに、運動神経は良い、それなのになぜか美術部員。
白石みたいだ。
あの二人がよく話していたのを覚えている、友達だったのかどうかなんてよく知らない。
彼女はあまり自分の話をしなかったから。
秋宮と話すのはこれが初めてではなかったが、会話をするのは数えるほどだ。
接点がない。

そろそろ掃除の終了時間か、僕はからのごみ箱を持って教室へ向かう。
そこで初めて気づいた。
何で秋宮は態々遠回りしてまでこんな所に来たんだ。

風が強く吹いた。
寒い、早く教室へ戻らないと。
速足で玄関へ向かう。
靴を履きかえようと思って、気付いた。

……何だよ、これ。

一枚の封筒が汚い内履きの上にちょこんと乗っている。
丁寧に、封にはハートのシールがはっている。
ため息を一つこぼし、なんとなく裏を返すと名前が。

『− 白石 小夜 −』

何なんだよ、今日は。



18: スマル☆2018/01/14(日) 23:38:02 HOST:kd114016074229.ppp-bb.dion.ne.jp

3、誰かのせい

『人間は消耗品である』

『人の時間は無限だが僕の人生は有限なのだ』

『愛は甘美で儚い』

色々な哲学の本を片っ端からぺらぺらと捲る。
放課後は寄り道をしてはならない、という校則を守る気はない。
もし、死んでしまうのならば、話は別だが。

『死んだ後の世界』

そんなもの有る訳がない、もしもあったとしても、それは死者にしかわからないだろう。
そっと本を閉じ棚に戻す。
一応先生が見回りに来ていないか辺りを見渡す。



絵本コーナーに目がいった。
『昔ながらのベストセラー』臭い見出しで人世代分古い絵本が表紙をこちらにし並んでいた。

「さっちゃんって絵本好きなの?」

ボーっとしていたアタシをよそにひーちゃんが話しかけてきた。

「もう驚かせないでよ」
「ぼぅ、としてるのが悪いんでしょ」
「してないよ」
「なにみてたの」
「これ、読んだことない?」
「ううん、見たことないよ、こんな絵本」
 
そっかっていうと、ひーちゃんはあたしの手を引っ張って文具コーナーへ引きずり込んだ。
そしてエメラルドグリーンに近い青の絵具を差し出して言った。

「これはさっちゃんだよ、キレイでしょ」

綺麗だった、でもそれと同時に少し不気味だった。
なんだかもう一人のあたしがいるみたいでさっちゃんが持ってた絵具は綺麗で繊細で、どこまでも無機質だった。

「じゃあ、こっちはひーちゃんだね」

アタシは細く笑ってから、オレンジに近い、ひまわり色を渡した。

「ひーちゃんのひは―――――――――――――…………


……――――――もう、思い出したくないな。
何年も前の事を思い出しながら目の前にある絵本を開く。
何となく懐かしい予感と嫌な予感は的中して、昔母が読んでくれたそれだった。

「……ばすにのるとすぐにとんねんるがみえてきました。
 しろいとあおいひかりのながいながいとんねるをぬけると……」

『そこは、ししゃのくにでした』
「そこはししゃのくにでした」

次のページの内容は覚えている。
その前のページも、どこのページの絵も文字も全部覚えていた。

汚れのない真っ白い、小型のバスに乗って、運転手さんに自分の好きな花を渡せば、他の乗客は皆降りて、死者の国に連れて行ってくれる。
不幸な死を迎えた子供たちだけのバスは死者の国に行き、そこにいる魔女に願いを叶えてもらえる。


絵本の内容を読み返し、息を吐いた。
今から全部を始めよう。
全部がはじまる。
ここまでが私の話。


『とんねるをぬけるとそこはししゃのくにでした』


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