ピコ森 メル友掲示板


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涙と恋愛

1: びゅり☆2017/10/13(金) 23:46:10 HOST:kd027095037062.ppp-bb.dion.ne.jp
こんなに辛い思いをするなら、

好きにならなければよかった。

でも嫌いになんてなれないの。

だからこそ、

君のこと、好きにならなければ、

出会わなければよかった。


2: びゅり☆2017/10/13(金) 23:50:33 HOST:kd027095037062.ppp-bb.dion.ne.jp
片思いって、すごく辛い。

私は今まさに、それを痛感している。

須崎花、中学2年生。女子バドミントン部に所属しています。

「はぁあ…」

一人ラケットを振りながらも、ぼーっと上の空。
片思いって、すごく辛い。

*
「花」

不意に名前を呼ばれ、驚いて顔を上げると、見慣れた顔が私を見下ろしていた。

「あ…」

羽島颯人。
私の、初恋の人。


3: びゅり☆2017/10/13(金) 23:54:25 HOST:kd027095037062.ppp-bb.dion.ne.jp
どうやら部活が終わって、私は廊下に座り込んでいたらしい。
今は10月なので、部活が終わる時間が早い。薄暗い廊下で意識を投げ出していて、さっきまでの記憶がない。

「あれ…私なにしてんだろ」

「ほんと何してんだよ、あとパンツ見えてんぞ」

「は!?」

堂々と体育座りをしていたことに気付き、バッとスカートに視線を落とすと、人並みより少し細い足に隠れない下着が見えていた。

「うわ、ちょ、最悪」

「俺悪くなくね!?」

「もー、そういうところが最悪なの!!」

ほんと、変態でドジでアホでだらしなくて、しょうもない男子。

だけど、そこが好きなんだ。


4: びゅり☆2017/10/14(土) 00:07:29 HOST:kd027095037062.ppp-bb.dion.ne.jp
方面が同じなので、自然な流れで一緒に帰ることになり、先生にまだ残っていたのかと軽い注意を受け私たちは校門を抜けた。

「ん」

「…?なに?」

突然差し出されたノートを、戸惑いつつも受け取る。文字が書かれたページをパラパラとめくると、その中の一枚に目が止まった。

「プッ、なにこれ?」

思わず吹き出す。そこには決して可愛いとは言えない女の子のイラストがあった。この下手さから察するに、颯人の絵だろう。

「似てるだろー?これお前」

「え、これ私なの?似てない」

「は!?超似てるだろ」

「もっと可愛いですぅー」

自分で言うのも変な話だけど、やっぱり好きな人には可愛いって思われたい。私は面に合わないブリッコキャラを演じてみた。

「そーかー?結構可愛く描けたんだけどな。まあ花はもっと可愛いか!」

そう言ってニカッと笑う颯人。

ずるい。私は胸がチクリと痛むのを感じた。
簡単に、そんなこと言っちゃうんだもんな…。


5: びゅり☆2017/10/14(土) 00:41:20 HOST:kd027095037062.ppp-bb.dion.ne.jp
「あのさ、颯人」

「ん?」

私は足を止め、数歩先を歩く彼を見る。
私が止まったことに気付き、颯人はくるりとこちらを向いた。

「どうした?」

優しい、優しい笑顔…。
この笑顔だけが、私だけに向けられたら。

「好きです」なんて、口が裂けても言えない。
言えない言葉を飲み込み、私は話を繋げるために適当な話題を切り出した。

「今度のグループ発表、どのトピックにするの?」

私達の学年では、今度英語を使ってそれぞれのトピック毎に調べた内容を発表する機会が設けられていた。もちろん成績に入るので、皆真剣に取り組もうとしている。明日あたり、グループ決めだ。

「あー、決めてないんだよなー」

「だよね。私も決めてない」

話が終わるのは嫌なので、私はポツリポツリと言葉を繋ぐ。

「だってさ、内容が大雑把すぎるよね。土地のこととか歴史のこととか、アバウトすぎるしまとまりないし。せめてこう、範囲狭めてくれたらいいのにね」

「そーだよなー。…俺、戦国武将にしよっかな」

「英語なのに?」

「そ。敢えてTHE・日本って感じの歴史攻めるんだよ」

「変なの、だったらペリーとかにすればいいのに」

笑いながら、通学路のアスファルトを辿る。
この時間が永遠に続けばいいと思いながら。


6: びゅり☆2017/10/14(土) 09:42:40 HOST:kd027095037062.ppp-bb.dion.ne.jp
次の日登校すると、2-Aの教室はざわついていた。

あちこちから、
「ねえ、今日決めるって!」「何にする?」といった声が聞こえてくる。

「花っ!」

私の名前を呼び、パタパタと駆け寄ってくるのは友達の相原杏樹。
みんなから「アン」と呼ばれていて、小さな顔や華奢な体、純粋そうな少女の面持ちが赤毛のアンそっくりだ。トレードマークのそばかすも。

最も、私は彼女の名前が好きだから「杏樹」と呼んでいるが。

「杏樹」

「花、トピック決めた?」

「ううん、まだ。杏樹は?」

「それがね、みんな日本の歴史にするんだって。建造物とか、偉人とか」

なんで英語の発表なのに日本の歴史にするんだろうと苦笑しながら、私は杏樹を見る。
杏樹はか弱くて可愛いから、きっと私と同じがいいんだろう。

私だって同じがいい。でも、これは仲良しごっこで決まる問題ではない。

チャイムが鳴り、「席つけー」という担任の声で我に返る。杏樹を席に着くよう促し、私は自分の席へ座った。


7: びゅり☆2017/10/14(土) 09:52:19 HOST:kd027095037062.ppp-bb.dion.ne.jp
出席を取っている間、私は教室全体をぐるりと見回す。
一番左の、前から3番目の席なので体を捻らなければならない。

やっぱり私にも、この人とは同じになりたくないな…という気持ちはある。

曽根原海結。皆葉空。西園寺綾莉。
お姫様のように可愛いこの3人は、このクラスの主権者だ。

そして、金谷裕太、笠科晴樹。
この2人はいわゆるヤンキーだ。普通に優しいし話せるけれど、やる気のなさそうな人と一緒になっては良い発表ができない。

この5人が、主にクラスを牛耳っている。
いわゆる「1軍」ってやつだろうか。


8: びゅり☆2017/10/14(土) 09:58:00 HOST:kd027095037062.ppp-bb.dion.ne.jp
「あたしたちは、2軍だよね」

以前、体育の時間に、杏樹の次に仲の良い友達らにそう言われた。
その時間はソフトボールで、T台を使ってバッティングの練習をしていた。T台が三台しかないので、1軍の3人が一つを陣取り、私達5人がもう一つを取った。すると、残りの10人は恨めしそうな顔をして同じT台を使い合うのだ。

それを見た友達が、バットを振り回しながらそう笑ったのだ。

あの3人が1軍、私達は2軍、あの子達は3軍…。
ピラミッドが脳裏を過ぎった。
上にいくほど少なく、下にいくほど多くなる。

「…そうだね」

私は一番下にならなかった安心から、そう笑っていた。

3軍の子達が、こちらを睨んでいることに気付かないまま。


9: びゅり☆2017/10/14(土) 10:38:09 HOST:kd027095037062.ppp-bb.dion.ne.jp
「…さん、須崎さん?」

担任に名前を呼ばれていたことに気付き、ハッと我に返る。「ハイ」と返事をし、再び自分の世界に入ろうとしたとき。

「…ダサっ」「何、あいつ」「ぼーっとしすぎでしょ…」

そんな声が耳に入り、驚いて振り向くと近くも遠くもない席に座った3軍の女子達がクスクスと笑っていた。
私に凝視されていることに気付くと、途端に顔色を変えて黙り込む。

…なに…。
心が、黒くなっていくのを感じた。
なんでそこまで、言われなきゃいけないの…あんた達、1人じゃなにもできないくせに…。


10: びゅり☆2017/10/14(土) 20:58:34 HOST:kd027095037062.ppp-bb.dion.ne.jp
心に黒いわだかまりを残したまま、英語の時間になった。
教科担の佐藤眞理と、AETのアベリィが入ってくる。

「ハイ、じゃあ今日は、この前も言った通り発表のグループ決めをします」

佐藤の声に、周りの生徒は慌てたように目配せをし合ったり、どうする?と話していたりしている。

「静かに。一つだけ変更点があります」

なんだろう、と静まった教室に、佐藤の声が響いた。

「さっきC組で決めようとしたら、ジャンルがごちゃごちゃすぎて目安にしていた人数が偏っちゃったの。だいたい3、4人のグループを組もうと思ったのに、これじゃあまとまりがないから、トピックの分野を絞らせてもらいます。OK?Avery?」

何故自分に突然振ったのだろうと不思議な顔をしながら、アベリィは「OK」と言った。

「それで、具体的に絞る分野はこれ」

佐藤が取り出した紙が黒板に貼られていく。
明智光秀、織田信長、清少納言、金閣寺、平等院鳳凰堂…。
今まで何度も聞いたことのある寺院やら人物やらが、ざっと12人前後書かれていた。

「この中から、自分の興味のあるトピックを選んでください。一つにつき3人の計算で、12人くらい書きました。じゃあ、自分の調べたいものにチェック入れてね」

佐藤はそう言って、小さな紙を配った。


11: びゅり☆2017/10/15(日) 00:27:27 HOST:kd027095037062.ppp-bb.dion.ne.jp
何にしようかな…と、回された紙を眺める。

歴史上で好きな人物と言えば、特にナシ。
興味のある建造物と言えば…これまた特にナシ。
あまり、歴史に興味はないのだ。

周りの状況を察するに、やはりみんなは調べやすい織田信長や、金閣寺に集中している。人数が溢れるのは面倒くさそうなので、私は一番マイナーなものを選ぶことにした。

──津田梅子。
岩倉使節団に付いていった、女の人、としか認識していない。それほど日本史には興味がないのだ。
でも、ここなら集まる人は少なそう。そう思い、私は津田梅子にチェックを入れた。


12: びゅり☆2017/10/15(日) 00:33:49 HOST:kd027095037062.ppp-bb.dion.ne.jp
紙の回収が終わり、授業があと15分程度まで進んだ頃、グループが発表された。

織田信長───36人中、13人。
金閣寺───9人。
その他にばらばらと散り、私がチェックした津田梅子は…。

──須崎、羽島、野木屋。
この3人で決定だった。
ちょっと待って、羽島って──…。

「花、お前俺と同じじゃん!」

弾んだ彼の声。振り向くと、俺も俺も、と自分を指差す無邪気な颯人の姿。

「…もうっ、真似しないでよ!」

嬉しい気持ちを噛みしめながら、私は怒ったようにそう言った。

後ろから、小さな舌打ちが聞こえてきたことに気付かずに。


13: びゅり☆2017/10/15(日) 00:41:55 HOST:kd027095037062.ppp-bb.dion.ne.jp
織田信長や金閣寺グループは各々の方法でメンバーを決めることになり、3人で確定したところはもう既に話し合いを始めている。

私と颯人、そして野木屋楓。
野木屋は、私のことを朝笑っていた3軍の中の1人だ。
なんかやだな、と視線を投げると、ビクついた彼女は小さく肩をすぼめた。

「改めてよろしくなー、津田梅子チーム!」

「よろし…」

「よっよろしくね羽島くん!」

はっ?と野木屋を見ると、必死の表情で颯人に話しかけようとしていた。
言葉を遮られた苛立ちか、颯人に馴れ馴れしい苛立ちか…心にもんもんと黒いものが溜まる。

「おう、よろしく!」

「羽島くんってさ、名前に″風″って字入ってるよね?私もなんだぁ、下の名前で呼んでもいい?私のことも下の名前でいいから!」

なに、コイツ。
あからさまに私への当てつけ?颯人のこと好きだったの?
下の名前で呼んでもらおうって、露骨なところが酷く滑稽。

「あ…えっと」

野木屋の勢いに押され、なんと答えればいいのか分からなかった様子の颯人を見かね、私は手を叩いた。

「はいはい、今は話し合いの時間なの。名前とかどうでもいいから。津田梅子で知ってること、話し合お」

嫌味を込めて野木屋へ告げると、彼女は下を向いて…。


その口元が、僅かに上がった気がした。


14: びゅり☆2017/10/15(日) 13:39:09 HOST:kd027095037062.ppp-bb.dion.ne.jp
6限の学活の時間は、佐藤の権力により全クラス調べ物学習となった。
自分達が決めたことを調べたり、模造紙の構造を考えたり…。あまり時間はないので、有意義に使わなければならない。

そういえば、杏樹は織田信長グループになった。
メンバーは、綾莉と晴樹。私だったらくじけそうだけど、杏樹は持ち前のフレンドリーな性格で2人と協力していた。

あと、海結、空、裕太は見事に同じグループになった。明智光秀だ。
織田信長と明智光秀、複雑な関係にあった2人を調べるのは、クラスのリーダー格たち。

何か、少し面白そうな予感がした。


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